学習意欲を高める為の報酬設定の是非

「今度の成績が○○だったら何々を買ってあげる。」

この様な約束は色々な家庭でされているかもしれませんね。

非常に効果的な手法ですが長期的には別の問題を生み出します。

 

その問題とは、学習の目的が所有欲を満たすものに置き換わってしまうことです。

そもそも学習とはこどもたちにとってどのような意味があるのでしょうか。

 

①自己成長、将来への備え

「成績が良いこと。」これはこどもたちの誰もが望んでいる状況です。

また将来大人として「自立して生き抜く為の重要な備え」でもあります。

つまり学習は自己成長であり、より豊かな社会生活を将来送るための準備に他なりません。

 

②知的好奇心の充足

知りたい。学びたい。
これは知的好奇心です。

自己成長や将来への備えだけでなく、学習そのものが知的好奇心を満たす楽しい作業です。

 

③当たり前ではない学習機会

また、学ぶことは当たり前の事ではありません。
学びたくても学べないこども達がどれほど多くいるかを理解させることも大切です。

貧困等の理由により、勉強したくてもできない。学校に行けないこどもたちが世界中にいます。
初等教育対象者の9%にも達しているのです。

勉強できる環境とは、安定した社会制度と経済状況下ではじめて可能な恵まれた機会報酬でもあるのです。

学習によって分からない事が分かるようになる。
出来ない事が出来るようになる。
これが成長の喜びです。

そして学習機会に対する感謝。

大人はこどもたちにこの楽しさや大切さを教える事ができます。

 

さて話を戻しましょう。
報酬設定の是非についてです。

より強い直接的動機付けになりうる報酬の設定は、それ自体が目的となってしまうリスクを持ち合わせています。
報酬が持続する場合は良いのでが、その報酬がなくなってしまうと、学習をやめてしまう可能性があります。
より良い人生の為には常に学び続ける事が大切です。

こども・学生だから勉強するのではなく、課題が高度化、複雑化する大人の方が学習の必要性はより高まります。
将来自立するこどもたちに学習の目的を見失わせてしまうモノという報酬による動機付けは大変危険です。

 

「物による動機付けは学習本来の目的を見失わせてしまう。」

欲しいモノをエサにしてこどもに学習させるべきではありません。

とは言え頑張ったことに対するご褒美、報酬自体が悪いものかというとそうではありません。

人の行動を習慣化し強化するには、適切な報酬設定が有効である事は間違いありません。

 

よい成績になる。行動を称賛される。ポーナスがでる。
嬉しいですよね。

そもそもこれらが目的だったのかと言うと、そうではありません。
適切な行動をした結果としてのリターンです。

 

結果としてご褒美(不定期)はOK

つまり、しっかりと学習に向き合った結果としてご褒美(不定期)が発生する。これはOKです。
事前にご褒美を約束したり、ほのめかしてはいけません。

先ず大前提として、学習自体が楽しいもの大切な取り組みだから頑張る。
その結果としてポジティブな出来事(ご褒美)が『稀に』起こる。
この様にすべきです。

学習結果に対するご褒美ではなく、学習という大事な取り組みに対し、
真摯に向き合う『姿勢』に対して、称賛することが大切です。

良い行いをすると、良い結果が起こりやすい。
この様に設計します。

 

長期的な習慣化には成長欲求、承認欲求を満たすご褒美が重要

学習に対する更なるプラスの動機付けが働く様に仕掛けましょう。

ご褒美は所有欲を満たすものでなく、成長欲求、承認欲求を満たすものの方が
長期的な習慣化には効果があります。
持続的な効果が期待できるものを検討してみましょう。

例えば、「大人用の箸の使用許可」など。

この一ヶ月間勉強を頑張ったと判断したら、自己管理ができる大人と認めてあげてください。
「大人用の箸を今月は使って良い」としてあげる事が成長・承認欲求を満たします。

今月としているところがポイントですね。
つまりその習慣が続いている間は使用許可を与えています。
これは成績などの結果ではなく、適切な行動に対してのご褒美となっています。

こどものステータスを示すアバターのグレードをあげる。

是非ご家庭でも考えて、工夫してみてください。

 

会員制難関受験専門塾エリオ顧問
(起業/ビジネスクリエーション)
岩渕 由博